東京高等裁判所 昭和51年(行コ)15号 判決
2 本件措置は原告(控訴人)に対する配置換に伴う関連措置として原告(控訴人)の職務の遂行に関してされたものであり、安藤課長のした職務上の命令に属することはいうまでもない。
そして、東京都の職員のような地方公務員は、「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」(地方公務員法三二条)のであり、かかる職務上の命令は、窮極的には地方自治の本旨の実現達成を目指し、当該地方公共団体の民主的かつ能率的運営という行政目的の実現のため発せられるのであり、かかる職務上の命令に対し部下職員が広く行政処分として争うことができるとすると、前記行政目的を害する結果となる。
それゆえ、上司の職務上の命令は、任命行為によって生ずる地方公共団体との間のいわゆる特別権力関係の優越的地位にもとづいて発せられるものであっても、これは当然には行政処分に該当するものとはいえず、むしろ、公務員の法的地位と関連し、利害が深く影響するものでないかぎり、一般的には行政処分に該当しないものと解するのが相当である。
3 もっとも、本件措置は、前記の配置換と関連した原告(控訴人)の職務遂行に関する職務上の命令ではあるが、第四係の職務の従事を免じ、第一、二係の職務の従事を命じている点で実質的には、再度の配置換ともいうべき一種の公務員の法的地位の上の変動と関連するものがあるともみれるから、行政目的遂行のために発せられる通常の職務上の命令と若干ニュアンスの異なる面のあることは否定し得ない。
4 しかし、本件措置が実質的に配置換の面の存することは否定し得ないとしても、原告(控訴人)の勤務先の単なる内部異動であって(もちろん、住居の移動を要するものではない)、東京都職員として職務を遂行する点と関連し、同人の法的地位に利害が深く影響することが認められず(同人が特別の技能、知識などのために右異動によって格別の不利益を受けるなどの格別の事情の存することは窺えない)したがって、本件措置が単に公務員の法的地位と関連するからといって、行政処分として、行政訴訟の対象となると解することはできない。
(瀬戸 奈良 小川)